宇練銀閣
「…………」
「……手が止まってるぞ」
「いやあ宇練せんせーこれちょっと補習の課題にしては多すぎやしませんか」
「予め言ってあったろ」
「こんなに多いって知ってたら勉強しましたよ」
「まぁなんつーか…、…気分だ気分。そういうことだから頑張れよ」
「(なんか理不尽だ…)」
「俺は寝る」
「(すごく理不尽だ…!!)」
時間外授業
(なんかもういいや、宇練先生寝てるし私も寝よう)
錆白兵
「…とんでもない量でござるな」
「ああ錆くんもそう思う?これ絶対いつもの補習課題の三倍はあると思うんだよね。今回補習になったのって私だけらしいし、宇練先生絶対私のこと嫌いだよねこれ」
「さあ…拙者の一存では、何とも」
「うん、それでね、これの提出期限って明日の朝なんだよね」
「絶望的でござるな」
「うん、そう思うよね」
「……この手は何を意味するものでござろうか」
「錆くんは私を見捨てていかないって信じてる」
「…………」
「…、ねぇ錆くん」
「……何でござるか」
「『拙者に』?」
「ときめいてもらうでござる」
宿題チャレンジャー
(すまない錆くん後でアイス奢る)
真庭蝙蝠
「また本なんか読んでんのかよ、つまんねぇ」
「(…うるさいのが来た)」
「そんな目で睨むなよ、折角俺が構ってやるっつーのによ」
「いらん」
「…んん?それ、恋愛小説か?」
「…だったら何」
「……!…っ、に、似合わねぇ…!」
「いつもの笑い声も上げられないくらい可笑しいかこのやろう!」
「何、もしかして小説みたいな恋愛に憧れちゃったりしてるわけ?」
「そういうわけじゃないけど。人間分相応だし」
「わかってんじゃねーか、だったら俺にしとけよ」
「いや無理」
ラブロマンスが始まらない
真庭蜜蜂
「うわぁすごい蜜蜂くんのベッドやっぱりでっかいねー」
「(どうして、こうもこの人は…)」
「いいなぁ、私もこれくらい大きいベッドで寝てみたい」
「(悪気がない分余計質が悪い)」
「おおこのクッションすごいふわふわしてる!」
「(こちらの気も知らないで…まぁ、知らないからこそなんでしょうけど)」
「…なんか、こうやってたら、眠くなってきた」
「(………)」
「……、…っうぉうっ!吃驚した、蜜蜂くんいつの間にそんなとこに!」
「…さん」
「ん?あ、あれ?蜜蜂くん?」
「もう限界です」
慣れと油断
とがめ
「こんなところにおったのだな。随分捜したぞ」
「(うわあ捕まってしまった)とがめ先輩今日は七花くんと一緒じゃないんですね」
「私とていつも七花と共におるわけではない」
「(見つからないようにしてたんだけどなぁ)そうですか」
「ところで、まぁ本題だが…そなたの気は変わらないのか?」
「(…きた)残念ながら…」
「既に生徒会にそなたの席は用意しておるのだ。後はそなたがこの書類に印を押せばそれでいい」
「いや、日常生活でいっぱいいっぱいですから」
「ふ…私がその程度の言い訳で納得すると思うのか?」
「納得してくれないと困ります」
「………」
「…?」
「ちぇりおっ!」
「うぐっ!?」
放課後ゲーム
(顔面に入った拳は毎度のこと)
左右田右衛門左衛門
「次の授業は英語か…面倒だなぁ」
「……」
「うーん、単位も多分大丈夫だろうし、さぼっちゃおうかな」
「……」
「そうだな、誰か誘っていこうかな。白鷺くん辺りがいいかな」
「……」
「って、昼休みあと五分しかないや、誘ってる時間ないかあ、残念」
「……」
「よし、じゃあひとりでさぼりますか。不忍仮面先生も多分許してくれるでしょう」
「…『不頷』」
「……うなずかず?」
「…………」
「…………」
「…………」
「………い、いやだなぁ、後ろにいたんなら言ってくださいよ不忍仮面先生」
「随分と大きな独り言だったな」
「い、意地悪ですね不忍仮面先生」
「今日の授業はお前を重点的に当ててやる。良かったな」
サボリとしあわせの方程式
(成り立ってない!)
鑢七花
「ごめんね七花くん、本運ぶの手伝ってもらっちゃって」
「いや、いいよ。気にするほどのことじゃないさ」
「今日はとがめ先輩と一緒じゃないんだね」
「おれだって四六時中とがめと一緒にいるわけじゃねえよ」
「それもそうか」
「うん」
「でもさー、正直言うと意外だったな。七花くんが進んで荷物運び手伝ってくれるなんて」
「とがめに言われたんだ」
「へ?何て?」
「『あいつにはよくよく恩を売っておけ』って」
周囲はパーフェクトワールド
(私七花くんの親切を素直に受け取れなくなりそう)
真庭鳳凰
「調子はどうだ、」
「あれ、鳳凰さ…先生、どうしたんですか?」
「お前が倒れたと聞いたのでな…様子を見に来たまでだ」
「た、ただの貧血ですよ。わざわざ様子見に来てくれるほどのことじゃないですって」
「…我にそのような嘘が通せると思っておるのか?」
「い、いえいえ、大丈夫です、ちょっと風邪気味なだけ…、ん」
「…熱いな」
「……鳳凰さんの手が冷たいだけです」
「いつまで強がるつもりだ?」
「強がってるとか、そんなんじゃ、」
不意に、おでこに柔らかい感触。
「…!……!!」
「安静にしていろ、顔が真っ赤だぞ」
保健室の薬品の匂い
「……ほ、鳳凰さんって大概不良教師ですよね!」
「何のことだ?」
10.08.22 title by ロメア様『学校青春20題』より