寝起きの話 
真庭白鷺




「…うーん、多分これ幻覚とかじゃないと思うんだけど、
 何で白鷺くんが私の部屋にいるの?」
「よだんた来にえ迎。ろだんたっだりもつるぼさ習講の日今せう
 ど、前お?」
「うわあ、私多分まだ寝ぼけてるや、白鷺くんの言ってること全然
 わかんないー」
「よなんれくっばらし」
「まあ言ってることがわからないのは本当だけどね」
「なよだことのもつい、ぁま」
「というわけで、おやすみなさーい」
「…けったっだんたいおてっ撮とんゃちは顔寝の前おばえいうそ、
 ああ」
「やあおはよう白鷺くんいい朝だね!」




















ダイエットの話 真庭喰鮫




「おや、今日の弁当は随分と量が少ないようですが」
「ああ、呼んでもないのに出てくるのはもうお決まりですよね喰鮫
 さん」
「いつもより弁当箱も一回り小さいようですし、中身もこのところ
 野菜が多いですね」
「なんであんた私の弁当事情知ってるんですか」
「まあいいではありませんか」
「別に良くはないですよ」
「ダイエットですか」
「…ええ、まあそんなところです」
「私も微力ながらではありますが、助太刀しましょうか
 (にこにこ)」
「何だか変態的な香りがするので結構です」




















好きなものの話 真庭鴛鴦




「……鴛鴦さん、もう限界です」
「唐突すぎて話がわからないんだけど、何が?」
「もう緑ばかりの食生活には耐えられません」
「ああ…もう一ヶ月になるんだっけ?」
「一ヶ月と四日です。…甘味が恋しい…」
「堪え性のないあんたにしてはよく頑張った方ね」
「う…でもそろそろほんとに甘いものがないとやばいです」
「そもそも、何で急にダイエットなんてしようと思ったの
 さ」
「蝙蝠の馬鹿に侮辱されたからです、あ、和菓子屋さん
 美味しそう、鴛鴦さんもういいですか」
「…好きにしな」




















雨の日の話 真庭蜜蜂




「うわー、急に降られたねぇ」
「そうですね、予報では晴れだったんですが」
「参ったなー、雨具持ってきてないや」
「ああ、僕が近くで傘買って来ましょ…う、か……、!!」
「ん、どうかした蜜蜂くん、…う、おっ、何で鞄こっちによこ
 すの!」
「暫くそれを胸に抱えていてくださいさん!」
「え、え?」
「いいですから!」
「あ、う、うん」
「(服が透けてるなんて言ったら、この人はそのままどこかに
 逃げ出しかねない…!)」




















怪我をした話 錆白兵




「う、おああっ!」
どの!」
「大丈夫大丈夫錆くん、ちょっとこけただけだから!」
「そうは言えども、完全に足を捻ったでござろう」
「ぐっ、何故見抜いたし」
「…痛むでござるか」
「ううん、このくらい何でもないよ。ちょっと保健室行ってくる
 ね…って、っちょ、!」
「動くと危ないでござる」
「だいじょぶだってこのくらい!歩けるし!」
「斯様な状況で、女子を一人残していくわけにはいかぬであろう。
 拙者にときめいてもらうでござる」




















髪の話 真庭鳳凰




「…何が楽しいんですかねー」
「ん?どうかしたのか、
「いや、私の髪いじってるのって楽しいのかなって。
 別に髪質がいいわけじゃないし…。
 それより、鳳凰さんの髪の方が綺麗じゃないですか」
「己の髪を触っていたところで、それこそ楽しくはあるまい」
「まあ、それもそうですけど」
「…それにな」
「ん?」
「好いた女の髪に触れていたいと思うのがそんなに不自然なことか?」
「!!」




















利き手の話 真庭蟷螂




「蟷螂さんって両利きなんですねー」
「…ああ、ぬしは知らぬのだったか」
「前までは左利きなのかなーとか思ってたんですけど、
 今見たら右手使ってるし。
 どっちの手のが使いやすいとか、そういうのあるんですか?」
「さて…特に意識したこともないしな」
「そんなもんですか。それにしても蟷螂さんの指、
 長くて綺麗ですね」
「それを言うのはぬしが初めてだな」
「そうなんですか?…ちょっと長さ比べて見てもいいですか?」
「……」
「…?」
「…ぬしの好きにするとよかろう」




















風邪をひいた話 左右田右衛門左衛門




「…馬鹿は風邪をひかないものだと聞いていたが」
「わざわざ保健室までご足労ありがとうございます。
 ところで不忍仮面先生は私に嫌味を言うために
 ここまで来てくださったんですか」
「『不違』当たらずも遠からずと言ったところだ」
「嫌味言いに来たってのは否定しないんですね」
「帰れ」
「…この流れで言うと私が苛められてるみたいなんですけど、
 お心遣いと受け取っていいんですよね?」
「お前の思うようにしろ」
「うーん、でも英語の単位がやばいってわかってますから、
 ここで帰るわけには」
「……」
「…っで!何で叩くんですか!」
「一時間くらいはこちらで何とかしてやる。
 だから今日のところは帰るといい」
「い、いいんですか?」
「理解したなら早く支度をしろ。私の気が変わらない内にな」



















怖い話の話 真庭蝙蝠




「…なーあ、ちゃんよ」
「なっなな何蝙蝠」
「いくらなんでも、ちょっとびびり過ぎじゃねえ?」
「しっ仕方ないだろ!
 借りてきたときはこんなに怖いと思わなかったんだから」
「たかがDVDだろ」
「ホラー映画なめんな」
「きゃはきゃは、
 でもまさか、お前が俺を頼ってくるなんて思わなかったぜ」
「それも仕方ないだろ
 まさか川獺先輩に急用が出来るなんて思ってもみなかったんだから
 …う、わわわ!」
「抱きついて来んなよ鬱陶しい」
「こっちだって好きでやってるわけじゃない!」
「(…もしかしてこういうの役得っていうんじゃねぇの)」




















メールの話 真庭川獺




ぴろりろりん♪


「あ、蝙蝠からだ」
「…蝙蝠?」
「はい、普段メール寄越さないのに何の用事…、……!!」
「ど、どうしたちゃん」
「調理室の冷蔵庫に隠してたお団子を…人質に取られました…!」
「だ、団子?」
「並んでまでして買った希少価値にある団子です…
 ち、ちくしょう…!」
「(蝙蝠の奴…
 まさか俺とちゃんが二人でいること知って…!)」
「待っててください、ちょっと奴を懲らしめて来ます!」
「(絶対意図的だろ…!
 あわよくばそのままちゃんを捕まえてようって算段なのか!)」
「なっ何故止めるんです川獺先輩!早くしないと私の団子が!」
「み、みすみす恋敵のところに行かせるわけないだろ!」
「え…川獺先輩、…え?」
「………はっ!」






10.12.12 title by ロメア様『ちょっとした20の話題』より