「レテ、レテ!」
「……?何の用、」
「化身、してほしいの!」
その行き成りの要求に、当のレテは面食らった――わけではない。
寧ろ、『またか』と言わんばかりの表情で、呆れたように息を吐き出す。
「また、か」
「うん、また!」
そして現にそう口にした彼女だったが、はそれに屈する様子はない。というより、レテの心情をまるで察せていないとすら言える。
は、その大きな目をきらきらと輝かせてレテを見ていた。
「もふもふ、させて欲しい!」
――には、まるで悪気はないのだ。
以前に聞いてみた話では、どうやら彼女、同じ獣牙族でも猫の民に触れた際の感触が好きなのだそうで、あの話していた調子では他の猫の民にも『もふもふさせてくれ』などと頼んでいるようだった。
ライ辺りがどのように対処しているのかは些か興味があるな、と思う。あいつはに好意を持っているようだから…というより、あれで隠しているつもりなのだとするのならば、笑えないくらいまるで誤魔化しきれていない。
「ああ、構わない」
ライがを好いていることを知っていて尚、こう返答するのは、もしかすると抜け駆けに当たるのかもしれないな。レテはそう思いつつ、綻んだの顔を見て己の口元もまた僅かに緩んだことを知った。
頬擦りしたくなるような
09.03.30